H mode
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高閉じ込めモード (Hモード, High-confinement mode) は、核融合プラズマにおけるプラズマ閉じ込めの改善された状態を指し、トカマクなどの磁気閉じ込め装置で観測される現象です。Hモードは、より効率的な核融合反応を実現するために非常に重要であり、通常の「低閉じ込めモード (Lモード)」と対比されます。 Hモードの特徴
1. 閉じ込めの向上 :
Hモードでは、プラズマ中のエネルギーがより長く閉じ込められ、エネルギー損失が減少します。これにより、同じ入力パワーに対してプラズマが高温になり、核融合反応の効率が向上します。 Hモードでの閉じ込め時間は、Lモードに比べておおよそ2倍から3倍長くなることが報告されています。
Hモードでは、プラズマの周辺領域に「輸送障壁 (transport barrier)」と呼ばれる現象が発生し、プラズマ内部からエッジに向けてのエネルギーと粒子の輸送が抑制されます。これにより、プラズマ中のエネルギーが効率よく保持されます。 特にエッジ部分の輸送が著しく低下することで、プラズマのエッジが急激に高温・高密度になります。この領域は「エッジ局所輸送障壁 (Edge Transport Barrier, ETB)」とも呼ばれます。 Hモードのプラズマは、エッジ部分に高圧力勾配を持つため、不安定性が発生しやすくなります。その結果、エッジ局所モード(ELM)と呼ばれる周期的な不安定現象が生じ、プラズマの外側のエネルギーと粒子が突発的に放出されます。 ELMはプラズマの安定性に対するリスクであるものの、エッジの圧力勾配を緩和し、プラズマをより安定な状態に保つためにも重要です。 4. Hモードへの遷移 :
通常、プラズマは「低閉じ込めモード (Lモード)」で運転されますが、装置に十分な外部加熱(例えば、ニュートラルビーム加熱やRF加熱)を加えると、突然Hモードに遷移します。この遷移には「スラッシャー・クライテリア (threshold power)」と呼ばれる臨界加熱パワーが関与します。 5. 実験装置での発見 :
Hモードは1982年に、ドイツのトカマク装置「ASDEX」において初めて発見されました。それ以来、さまざまなトカマク装置や核融合装置で確認されており、次世代核融合炉(例: 国際熱核融合実験炉 (ITER))でも期待される運転モードです。 Hモードの利点と課題
利点 :
Hモードではプラズマの閉じ込め性能が向上し、核融合反応を持続させるために必要な条件が達成しやすくなります。これにより、プラズマを高温に保つためのエネルギー供給が削減され、核融合の燃焼条件を達成する可能性が高まります。 課題 :
Hモードで発生するELMは、プラズマ装置の内壁にダメージを与える可能性があり、装置の寿命を短縮するリスクがあります。そのため、ELMの制御や緩和策が重要な課題となっています。 まとめ
高閉じ込めモード (Hモード) は、核融合装置においてプラズマの閉じ込め性能が飛躍的に向上する運転モードです。Hモードへの遷移により、エネルギー損失が減少し、核融合反応の効率が向上しますが、エッジ局所モード(ELM)の発生とそれに伴うリスクも生じるため、ELM制御が大きな研究課題となっています。Hモードの実現とその安定的な運転は、核融合炉の実用化に向けた重要なステップです。 H modeプラズマは、核融合炉発電でも最も有力なオペレーションの候補という印象masaharu.icon あとディスラプションも
H modeプラズマを使わないL modeでオペレーションするという世界線は存在はするだろうけど、そうなるとシンプルに核融合おきなくね?という問題があると思う
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graph TD
A -->|プラズマの安定化に必要な密度| F臨界密度 D -->|持続可能な反応のための資源| M燃料供給